田村伊久男 氏・廣田利幸 氏(地域資源を活かした地域活性化)
観光客のにぎわいを地域へ
移住者歓迎のムードが淡路島全体に広がってほしい
地域資源を活かした地域活性化
北淡路里山活性化委員会(生田地区・五斗長地区)
田村伊久男 氏・廣田利幸 氏
これまで取組んできたこと、現在取組んでいることを教えてください。
生田地区では、そばの花の美しさに着目し、地域おこしのきっかけとしてそば花まつりを開催したところ、多くの観光客にお越しいただきました。その後、県の補助金等を活用してそばカフェを開き、飲食店の協力による麺の改良を重ねた結果、地域の名物にすることができました。五斗長地区では、弥生時代後期の鉄器づくりのムラ跡である五斗長垣内(ごっさかいと)遺跡を中心とした地域おこしに取り組んでいます。また、地域全体が営農組合として、昔からある「まるご玉葱」を一丸となって生産し、地域のブランド品として売り出しています。近年は、周辺地域一帯を「北淡路里山」として、島外へのアクセスの良さを売りに、ガイドマップの作成や桜並木の整備などに取り組み、観光客、移住者の受け入れに力を入れています。
取組を始めようと思ったきっかけや、取組に対する思いを教えてください。
生田地区は町内会長の定期的な交代などで舵取りできるリーダーがおらず、他地域と比較して地域活性化に遅れをとっていました。そこで、生活に密接に関係している水利関係から地域をまとめていこうと思い、実務をとりまとめる役割を担うことで町内会同士がまとまり始めました。五斗長地区は、台風による水害から復興したい、そして五斗長の豊かな自然環境と人々の暮らしを次世代まで守っていきたいという思いから、当時リーダーをされていた方を中心に田畑の整備や、復興への願いを込めたひまわり祭りを開催し、地域おこしに取り組みました。
取組の中でやりがいに感じたことや、苦労した点を教えて下さい。
最初はまとまりがなく、住民同士の意思統一は難しかったですが、話合いにあまり参加しない人にも集会の場で意見を求めることで、当事者意識を芽生えさせることができたと思います。また、地域のイベントは、自分たちも楽しめるようなものを目指して毎回計画しているので非常にやりがいを感じます。将来の人口減少を少しでもくい止めるには、観光客だけでなく移住者の受け入れも進めていくことが重要です。そのためには、お試し住宅や空き家の改修、また地域に慣れてもらうためのコミュニティー参画促進など、移住者を受け入れる環境整備が必要だと考えています。
取組を通して、どんな淡路島にしたいですか。
旧北淡町・一宮町の沿岸地域には複数の企業が参入し、飲食店が増えて非常ににぎわっていますが、今後地域との結びつきもより強くなってくるのではと期待しています。また、生田地区内の住民を対象としたアンケートでは、約93%が移住者を歓迎しているとのことで、これまでの取組が実を結んでいると感じます。私たちの事例を参考にしていただき、淡路島全体に移住者歓迎のムードが広がると嬉しいです。