杉本龍亮 氏(竹資源のエネルギー化)
竹は再生可能な天然資源
竹の有効活用で淡路島をさらに持続可能な島に
竹資源のエネルギー化
杉本林業株式会社社長
杉本龍亮 氏
これまで取組んできたこと、現在取組んでいることを教えてください。
淡路島の放置竹林対策のため、竹に含まれる豊富な乳酸菌に着目し、青竹をパウダー化して農業用の土壌改良材や家畜の飼料をつくる取組を始めました。さらに、枯れた竹の有効活用策として竹チップによる燃料化にも取り組んでいます。平成27年度から実施された「あわじ竹資源エネルギー化5か年計画」のもと、グリーンニューディール基金事業を活用して大型ボイラーを導入している温浴施設に当社で加工した竹チップ燃料を提供しています。さらに、島民に対し、竹の収集・買い取り制度の呼びかけを行っています。
取組を始めようと思ったきっかけや、取組に対する思いを教えてください。
視察で訪れた自治体で、森林資源を燃料化する取組の話を聞く機会がありました。そこで、資源はあるが燃料化のノウハウがなかったため、他自治体に依頼するということがあったそうで、淡路島の放置竹林の拡大を防止するため、竹資源を有効活用し、エネルギーを地産地消できる仕組みづくりが必要だと感じました。その後、農林水産省の認定を受けるため林業として当社を立ち上げ、竹資源のエネルギー化に向けて事業に取りかかりました。
取組の中でやりがいに感じたことや、苦労した点を教えて下さい。
全国から工場見学に来られる方が多く、バイオマス燃料への関心の高まりを感じます。また、地域外の方からも竹林に困っているという声をよく聞くので、自分たちの取組をビジネスモデルとして参考にしてもらえるようになれば嬉しいです。
淡路島の竹はほとんどが傾斜地に生えていることから、道づくりから始めることもしばしばあり、伐採、運搬の費用がかさむという苦労があります。また、竹林の土地区画は煩雑で、伐採時の見極めが非常に難しいところも苦労するポイントです。
取組を通して、どんな淡路島にしたいですか。
竹は一見するとその繁殖力や成長の速さから厄介者として扱われがちですが、裏を返すと、樹木よりも短い期間で生えてくる竹は「持続的な再生産が可能な天然資源」と捉えることができます。そのためには、伐採、運搬、集積にかかるコスト面などの課題、ボイラーの技術面での課題などをクリアする必要がありますが、これらを乗り越えたら、淡路島はさらに持続可能な島になっていくのでは、と期待しています。